院長からのメッセージ

日本赤十字社 長崎原爆病院
院長 谷口 英樹

理想的な初期研修とは

 医師になると学生時代とは比べ物にならないくらいの責任とそれに伴う自覚を要求されますが、その分やりがいも大きいのは確かです。理想的な研修は人それぞれ目指す所が違うので一概には定義できませんが、症例の数と指導医の熱意は絶対条件であると思います。
 私が研修医であったころ、ある先輩の先生から、ロケットは高く打ち上げないと遠くまで飛ばない、と言われたことがあります。最初から高い志をもって頑張りなさいという意味であろうと解釈しましたが、今の時代でもそれは通用することだと思います。
現代は、従来言われてきた医学の三本柱すなわち臨床、教育、研究に加え、医療安全と働き方改革にも注力しなくてはならず、簡単にはいきませんが創意と工夫で先生方が目指す理想の医師像に少しずつ近づいて行ってほしいと思います。当院は経験豊富な指導医が多く、皆さんの教育にも熱心に取り組んでくれます。また、各科、各セクションの垣根が低いのも特徴として挙げられます。初期研修に対し病院としてもできる限りのバックアップを行いますので研修期間を充実したものにするようお互い頑張りましょう。

研修プログラム責任者からのメッセージ

日本赤十字社長崎原爆病院
副院長・循環器内科部長
芦澤 直人

人生100年時代の初期研修には何が必要か。

 医学部のみなさんにとっての就活は、初期研修をどの病院で行うかということだと思います。10年ごとに平均2〜3年のペースで平均寿命が延長していますが、1997年生まれの50%が到達する年齢は101歳と試算されています。平均寿命が70歳の頃は、終身雇用制度の下、教育と仕事と引退という3ステージの人生設計が最もうまく機能した世代でした。しかし、これからはマルチステージの人生設計が必要です。すなわち、人生で多くの移行を経験することになる皆さんは、投資を怠ってはなりません。自分のアイデンティティーを変えるための投資、新しいライフスタイルを築くための投資、新しいスキルを身につけるための投資が必要です。これまでは、こうした投資は人生の最初のステージ、すなわち教育を受ける時期に集中して実施されてきました。これからは、生涯を通しての投資が必要になりますが、私は初期研修の2年間の教育がいかに重要であったかをこの歳になって痛感しています。長寿により増加する病気は、心不全、癌、そして認知症です。インターネットとオンライン学習が発展して、知識だけなら容易に習得できるようになりましたが、医学は座学だけではまかり通りません。実際の医療活動を主治医の先生と医療スタッフと一緒になって行う経験学習が必要なのです。医学ほどマニュアル化できない暗黙知の重要な職業はありません。机上の知識だけでなく、実際の問題解決能力を持っている医師を育てるのが我々の使命だと考えています。当院の特徴は、他の医療スタッフとも仲良く互いに助け合いながら楽しく仕事に没頭できることです。また、当院の特徴を生かした災害救護や原爆被爆者医療などを経験することも可能です。今後の進路に悩んでいる医学生のみなさん、我々と一緒に働いてみませんか。